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四方山話

粗利の計算でよく見かける間違い

アイキャッチ[計算]

粗利は「あらり」と読む派、高井優希です。

うちの会社に限って言えば、50代以上が「そり」と読み、40代以下は「あらり」と読んでいます。

本来の言葉の使い方から考えれば「あらり」が正しいですが、「そり」と読む人も結構いるようですね。

さて、そんな粗利ですが、粗利率をもとに原価と販売価格を計算するとき、無意識に、間違った計算をしていることはありませんか。

とある会議での出来事

一般的に、ベースとなる粗利率を25%とする業界なのですが、先日の会議で、こんなことがありました。

会議には、お客様から注文を取ってくる営業さんと、実際に商品を製作してお引き渡しをするクリエイターさんがいます。

営業さんは、商品代金に粗利率25%を含む、販売単価30,000円で50個受注してきました。

販売単価30,000円には既に25%の粗利が含まれているので、商品原価は30,000円の1.25で除算することで、1個あたり24,000円と計算しました。

販売単価1個あたり6,000円(30000-24000)の粗利があり、それが50個あるので、今回の受注では300,000円の粗利になる、と言うのです。

しかし、クリエイターさんは、その粗利に反発しました。ただでさえ薄利多売なのに、1個あたりの粗利が6,000円しか出ないんじゃ、ほぼ儲け無しじゃないか!と。

かたや営業さんは、粗利率25%以上にすると売れないからこれ以上販売価格を上げるのは絶対ダメだ!と、双方譲りません。

でも、そもそもこの計算、どこかおかしくありませんか?

計算元の金額に要注意

粗利率というのは、販売価格のうち何%が粗利なのか、を指します。なので「販売価格の25%が粗利」という前提では、上記のような「販売価格は原価に25%乗せている」とする計算方法は間違っています。

わかりやすく、販売価格を1,000円としましょう。

販売価格の25%が粗利なので、商品原価を計算するには販売価格×0.75になりますね。「1000 * 0.75」で、商品原価は750です。

では、この商品原価750円に25%を上乗せしてみましょう。つまり、125%を求める計算です。

「750 * 1.25」という計算になりますので、解は937.5です。

あれ、1000に戻りません。なぜでしょう。

キーポイントは、割合を計算する元の数値にあります。

1000の75%を計算する場合は、1000に対しての75%を求めています。しかし、750に25%を上乗せする場合、750に対しての25%を加算しているのです。

結果的に受注は問題なかった

話を戻しましょう。

会議での話で、営業さんは商品原価に対しての25%乗せで計算していたため、1個あたりの商品原価が24,000円になっていました。

しかし、計算方法が間違っていたということで、再計算してみたところ、販売単価30,000円を75%(0.75)で乗算し、商品原価は1個あたり22,500円だとわかりました。この金額なら、1個あたりの粗利が7,500円なので、クリエイターさんたちも納得。

結果的に、今回の受注は問題ないことがわかったのです。

ちなみに

こちらも混乱の元。土地や家の広さを表す「坪」と「㎡」を相互に変換する場合。一般的に、

1坪 = 3.305785㎡
1㎡ = 0.3025坪

という計算式が使われていますが、この数値には大きな落とし穴があります。

50坪を平方メートルに変換するため、「50 * 3.305785」を計算すると、165.28925㎡になります。では、これを再度坪数に変換するため、「165.28925 * 0.3025」してみるとどうでしょう。49.999998125となってしまい、50坪には戻りません

これは、1坪=3.305785㎡の「3.305785」という数値が、小数点第6位以下を切り捨てているから。そのせいで、ごくわずかな誤差が生まれてしまうのです。

なので、坪数から平方メートルへの変換で正しい数値を出したい場合は「50 / 0.3025」としましょう。165.289256198347107㎡という細かい数字が出てきますが、0.3025という数字はキリのいい数字(途中で切り捨てられていない数字)なので、計算結果には誤差のない数値が出てくるのです。

数字って難しいですね。

もし間違いがありましたら、ご指摘いただけると助かります。

初稿:2019年3月2日

-四方山話

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