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四方山話

小学校の歯科検診で反対咬合と言われ、矯正を5年間続けた話

歯医者に行くと、いまだに「歯磨きが下手」と言われる、高井優希です。

先日、息子が小学校の歯科検診で「不正咬合の疑いあり」と診断され、治療証明書を出すよう言われてきました。いわゆる「受け口」と言われるものであり、反対咬合とも言われます。

そう言えば、自分も息子くらいのときに反対咬合と言われ、それから5年間、治療のため毎月大学病院まで通っていたことを思い出しました。

もう30年以上昔の話になりますので、今とはだいぶ違う部分もあるかもしれません。でも、何かしら歯科矯正を行う人の参考になることがあるかもしれない、と思い、記憶を掘り起こしてみました。

自分が小さい頃の写真は噛み合わせが逆

小さい頃の写真を見ると、自分はいつも少し下顎を突き出したような笑い方をしています。下の歯が上の歯より前に出てしまう、反対咬合という状態でした。

小学1年生の歯科検診で指摘され、馴染みの歯医者からは「治療はまだ早い」という診断結果を出してもらっていたものの、2年生のときの歯科検診でも指摘されたため、治療を開始することになりました。

歯医者で紹介してもらったのは大学病院

歯科大学病院のイメージ画

馴染みの歯医者の先生によると、乳歯が残っている状態で治療するのはまだ早い、とのこと。でも、学校の歯科検診で毎回言われるのも辛いだろうから、と、歯科矯正できる病院を紹介してもらうことにしました。

そこで紹介してもらったのは、歯科大学病院

当時、同じ市内にも歯科矯正を取り扱う歯医者はいくつかありましたが、どこも治療費がとても高価でした。でも、ちょっと遠いけど、大学病院なら歯医者ほど高価ではないとのこと。

そして、大学病院なら常に最新の治療法を受けられるメリットもある、ということで、紹介状をいただいたのです。

ここから、月に一度、片道2時間かけて大学病院へ通う生活が始まりました。

月に一度、学校を休んで病院へ

自分にとっては、月に一度の嫌な日でもあるけど、楽しみの日でもありました。

何と言っても、堂々と学校を休めること。お昼は大学病院近くのドライブインで大好きなラーメンか回転寿司。その後の治療だけ我慢すれば、帰りにまたドライブインに寄って、自動販売機で大好きなカップヌードル。そして、往復4時間のドライブ付き

毎月、祖父の大きな車を借りて、祖父と母と自分の3人で。この生活は、小学校を卒業して中学に入るまで、5年間ほど続きました。

治療は決して楽ではなかった

最初はそんなに辛くなかった治療ですが、自分が少しずつ成長していくにしたがって治療法も段階的に変わっていき、だんだんと辛いものになりました。

口の中に器具をつけたときは、慣れるまでの違和感もありましたし、その器具で顎を強制的に動かすわけですから、当然痛みもあります。辛くて何度も泣きました。

お昼と帰りのドライブインでの楽しみが無ければ、続けられなかったかもしれません。

最初の治療はチンキャップ

治療を始めたばかりの頃は、まだ全ての歯が永久歯に生え変わっていなかったため、顎骨の成長を緩やかにするチンキャップというものを使った治療がメインでした。

頭に帽子のようなものをかぶり、下顎に金属の顎当てを当てて、帽子と顎当てをゴムでつなぐ治療器具で、ゴムの力で下顎の成長を抑えるためのもの。

チンキャップ装着例|西国領歯科医院

学校から帰ってきたら装着し、食事と入浴のとき以外は、寝るときもずっと付けたまま。痛みなどは特にないので、嫌悪感などは特にありません。

ただ、この帽子のようなものをかぶっていると、髪の毛に変なクセが付くので、そのことで学校ではよくからかわれる対象となりました。

永久歯が完全に生え揃ったところでブラケット治療

ブラケットによる歯列矯正

1本1本の歯の表面に金属のブラケットを接着し、ワイヤーを使って歯の並びを矯正するための治療法です。

反対咬合の治療だけでなく、歯列矯正などにも使われるので、割とよく目にする機会があると思います。

ワイヤー&ブラケット矯正|オーラルプロポーションクリニック

この治療がとにかく辛く、地獄でした。

というのも、この治療は、上顎を広げるためにブラケットに金属ワイヤーを固定して、ワイヤーの力で外側へ引っ張るのです。同時に、下顎は広がりを抑えるために、ワイヤーの力で内側に押し込みます。

最初は細くて弱いワイヤーから始まりましたが、1ヶ月ごとに交換されるワイヤーは、徐々に太さ(強さ)がUPしていきます。交換した日はまだ辛うじて大丈夫ですが、翌日になると全ての歯が痛くて、何かがちょっと触れるだけで激痛

もちろん、痛くて何も噛めないため、普通の食事なんて無理

担当医は、せめて気持ちだけでも和らげようと、ワイヤーを固定するO型のゴムをいろんな色で用意してくれました。毎回「どの色がいい?」と決めさせてくれたのですが、そんなことで気持ちが紛れるわけもなく、毎回ただただ黙って耐えるだけ。

ワイヤーを交換し、普通に食事ができるようになるまでは、いつも2~3日ほどかかりました。

かみ合わせが正常になった頃からリテーナー使用

矯正した歯を戻らないように固定させるリテーナー

地獄のように辛かったブラケット治療は、6年生になった頃にようやく開放されました。

かみ合わせが正常になったことと、ある程度、顎の成長も緩やかになってくる時期、ということで、全てのブラケットが外され、リテーナーを使った後戻り防止の治療法へ。

保定装置・リテーナーについて|クロダ矯正歯科

上顎は、取り外しができるタイプのリテーナーを使用。歯茎と同じような色のプラスチックにワイヤーがついたものを、食事と歯磨きのとき以外装着するというもの。

下顎は、歯に直接接着するタイプのワイヤーを、前歯4本だけに。

ここまでくれば、もう痛みとは無縁の世界です。リテーナーに違和感を感じるものの、それさえ我慢すれば何の心配もいりません。

ちなみに、取り外せるリテーナーは、2日に1回くらいのペースでポリデントしましょう。清潔に保つことで長持ちしますし、汚れがあると口臭の原因にもなりますので。

結局は治療を途中で止めてしまった

中学に上がり、環境が変わったことで、毎月通うことが億劫になってしまったこともあります。でも、一番の理由は、担当の先生が独立開業するため大学病院を辞めてしまったこと。

担当医がとてもいい先生で、この先生だったから辛い治療も耐え、何とか続けることができたのです。でも、その先生がいないなら、続けるだけの気力が保てない。

治療途中で止めてしまうことは、大学病院からはだいぶ反対されましたが、自分の意志は堅く。

その後、馴染みの歯医者で事情を話し、下顎に固定されたリテーナーを外してもらい、約5年に渡る矯正治療は終了しました。

その後の歯並び

途中で治療は止めてしまいましたが、その後、かみ合わせが悪くなってしまうことはなく、歯並びも綺麗なまま。振り返ってみれば、今でも非常に辛かった記憶しかありませんが、それでも今は治療してもらって良かったと思っています。

この歯のために多大なお金と時間をかけてくれた親には、感謝してもしきれません。

歯並びが原因でなかなか笑顔がつくれない、とか、歯並びを綺麗にしたい、と思っているなら、矯正して素敵な笑顔をつくれるようになるのも、いいかもしれません。きっと、今までより前向きになれると思います。

あれ、これって矯正の副作用?

ただ、自分の場合は諸手を挙げて「治って良かった!」と喜べない事情が起きました。原因が矯正による副作用なのか、たまたま起きたことなのか、はっきりしませんが。

顎の関節付近を攣る

あごの関節

大学生活を送っている頃くらいから、大きく口を開くと、顎の関節付近を簡単に攣るようになりました。口を開けなくても、イーッという感じで顎に力を入れても攣ります。ものすごく痛いです。

力を抜いた状態で、しばらく大きな口を開け続けると治るのですが、この症状、矯正が終わって7~8年した頃から、急に発生するようになりました。そろそろ成長が止まったであろう時期、になりますかね。

自分は小さい頃からの癖で、頭を洗うとき、顎のあたりに力を込めてしまうことがあるので、この症状が出始めた頃は、毎日のように顎のあたりを攣っていて大変でした。

医者に行ってみたところ、特に原因はわからず。ただ、過去に顎を強くぶつけたり抑えつけるようなことがなかったか聞かれ、矯正でチンキャップを使っていたことを話したところ、うーん、と唸っていました。

成長期に顎を抑えつけていたことで、何かしら顎の関節に影響が出ることは、可能性としてはあり得るかも、とのこと。ただ、それが攣ることと関係があるかどうかは不明、と。

言われてみれば、チンキャップで抑えつけていたことは何となく「良いことではない」ように思えます。

ブラケットの形に歯が割れる

歯が壊れていく

こちらは、矯正を終えてから20年くらいした頃。

ある日、前歯の間に詰まった食べ物をつまようじで取ろうとしたところ、前歯の一部がカタカタ動くことに気付きました。よく見てみると、歯が割れています

そして、カタカタ動くことに気付いてから数日後、歯医者の予約日を待たずに、動いていた部分が外れてしまいました。歯磨きの最中に、ポロンっと。

外れた歯は、前方後円墳のような形。残った歯は、いびつな三日月型。ちょうど、矯正していたときに装着していたブラケットの位置に沿って綺麗に割れていました。そして、その後もう2本の前歯も同じように割れたのです。

これって、ブラケットを装着して、無理矢理に歯を引っ張っていたことによる副作用?

その後、別の歯医者(仕事の関係で地元から離れていたので)へ行き、割れた歯にセラミックの歯をかぶせてもらったので、今はぱっと見、歯が割れたことは誰にも気付かれないくらいには治っています。

その歯医者での話の流れで、矯正のときにブラケットをつけていたせいかどうか聞いてみましたが、可能性は有るとも無いとも言えないという見解でした。可能性という意味では、矯正時にうまく歯磨きができていなくて、歯が弱くなっていた、という事もあるかもしれませんし。

いずれも可能性のレベルを超えない

上記2点は、あくまで可能性としてあり得るかも、というレベルであって、矯正をすると副作用として起きますよ、というものではありません。

むしろ、通常は起こり得ないんじゃないかと思いますが、一応、こんなことがありましたよ、ということで。

初稿:2019年2月3日

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